【目 的】
島根の地域活性化のため、学生や若者はどんな役割を果たせるのか、先進事例発表と徹底討論を通して、島根での可能性を探る。
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【メンバー】
主催 島根大学コミュニティ・ワークス
代表 田中晃一(総合理工学部3年)
久松勝平(総合理工学部4年)
木谷尚樹(総合理工学部3年)
荒川宏子(法文学部2年)
江角智也(生物資源科学研究科)
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【結 果】
参加者全員が様々な課題をあげ、テーマを絞り、テーマごとにグループ分けして討議した結果を下記に列挙する。
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教育(B) :
- 親同士のコミュニティが必要じゃないか。親も子育てに悩んでいることを回りも知らないといけないし、本人も自覚しないといけない。そのことを踏まえた、支援作りが大切である。
食・農林水産(C):
- 私達が普段口にしている国産の食べ物は、地方の田舎で作られていたりする。しかしながら、国産の食物の生産者は後継者不足に悩みを抱えており、このままでは食料自給率は下がる一方で外国産を口にせざるを得ない。
- 後継者不足への対策も考えてみる。人口が減少している地域や集落では、危機感を持つ度合いもそれぞれであるようだが、古きよき日本人らしい生き方や美しい田園風景を保ち続けたいと思う人々も現れてきている。そのような場所を見直し都会の若者が遊びに来たり、気に入って住み着くようになるにはどうすればよいか。大卒の人間でもその地域でそれなりの仕事ができる仕組み作りは可能なのだろうか。
- そのような地域の後継者不足への対策とは、人口減少に対する手を打つことである。重要なのは、その地域の居住者が人口減少と人口流入についてどのような考えを持っているかということを前提に考える必要がある。新しいUIターン者のためのアプローチから実際の地域での生活のサポートまでの環境を整備する。流入対象者と地元住民がコーディネーターの力を借りてイベントを行いお互いに人間関係を築くことから始まり、実際に居住するとなった際には、住む家を安心して確保できるように行政が仲介し空き家の管理を行うことで地元住民とのトラブルを回避することができる。
医療・福祉(D):
- これからの医療は、予防すること。
- 過剰な医療や必要ない医療をしている現実がある。
- 老人による病院のサロン化や都会に医師が集中してしまっている。
- 予防するためには、生きがいを持つことによる健康志向である。
- 実例としては、行政による農作物の買い上げによって老人に働いてもらうことで医療費が下がった。
- 身近な具体例として、タバコを吸わないことを薦める。
- タバコを吸うことによる健康被害を抑える。
幸せの価値観(H):
- 都会では貨幣や効率を中心とした価値観がまかり通っており、自分らしい生き方を実現しにくい世の中である。その様な中、地方の田舎へヒントを見出そうとする者も存在する。都会と田舎では何が違い、何が共通なのか洗い出しながら、グループが考える理想の自然体の生き方というものを実現するための工夫を探っていく。
- 理想とするナチュラルな生き方とは、自然と共生する生き方でもあり、自分らしい本来の生き方でもある。この様な理想像が生まれる背景には、都心の偏った価値観に生き方を制限されているからである。例えば、貨幣主義、効率主義などがそうで、そのため地域の人間同士の交流も薄れてしまい、自分が社会にとってどの様な意味があるのかを実感できないでいる。
- 私達はお金の占めるウェイトの低い生き方や地域と協力して子育てができる仕事を求めている。それが家族の幸せにも繋がる。またお互いが認め合うことができて腹を割って話し合えるくらいの人の繋がりが必要である。
限界集落・高齢化・UIターン・人口流動・因習(A):
- 地域に出たいけど、地域はよそ者を排除してしまう。
- 重要なのは、地域と学生をつなぐコーディネーターが必要なこととゆっくりと入っていくこと。相互理解がある計画を考えていかないといけない。
- 人と人の繋がりは、とんでもないもの生み出すかもしれない。しかし、突然何かが変わるのはとても怖いことであることを知らないといけない。
伝統・多文化共生(G):
- 島根県には出雲神話など素晴らしい歴史や文化、伝統がある。しかし、近頃はそれらを教わる場所や機会が不足している。形式だけ継承しても続かない。Gチームでは「形だけの継承ではなく、心も受け継ぐ島根人」をキャッチフレーズに、みんなでできる方法や自分1人でできる方法を各自が提案してくれた。
IT・コミュニティビジネス・新産業・女性(F):
- 人と人が出会って「うひょー」となってほしい。よそ者・若者が田舎に行っても言葉が通じなかったり、その地域の若者は地元に目を向けず大企業や都会に目が向いている現状がある。それを解決するために経済系や理工系の学生やがんばる企業・研究機関、行政など様々な人材や技術を掛け合わせて「うひょー」となる仕組みが必要。そんな風にいろんな人が全国を飛び回ったら、日本全体が元気になると思います。
観光(E):
- 質の高い観光を実現すれば、自然と経済性は確保されるようになる。たとえば、島根半島やたたら、水などをテーマにした観光文化や地域づくりをする。また、日本人のみならず、外国人も興味を持つ島根にしたい。
- そのために、大人と若者のネットワークを作って情報交換ができる環境があれば若者が動きやすい。同時に、若者が企画をして若者をどんどん島根に呼び込めば島根が元気になるのではないか。だったら「若者ツーリズム部」を実際に作ろう。
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【考 察】
イベントの準備及び本番を通してまとめた、運営メンバーの島根県の地域活性化と若者の果たす役割に関する考察。
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田中晃一
- 今回の「島根を元気にするトークバトル」を開催するにあたって、本当に多くのものを得ました。たとえば、第一部でそれぞれの地域活性化モデルを知ることによって、参加者が何かしらの方法で島根を活性化できる可能性があると感じてくれたと思います。第二部では、実際に当事者となって島根を元気にするプランを考える作業を通して、世代や立場を超えて参加者同士が交流できたことは大変有意義でした。最後の第三部では、自分たちが考えたプランをプレゼンすることで若者は良い経験になったと思うし、様々なテーマで島根を元気にするプランを知ることによって、島根活性化の可能性がまた上がったことでしょう。
- さらに、トークバトルをきっかけに様々なつながりが出来ました。たとえば、トークバトルに参加してくれた京都の学生が今度高知に行くと連絡がありました。さらに、第三部で発表した「若者ツーリズム部」も動きつつあります。
- 島根を元気にするトークバトルでは、本当に良い経験をさせて頂きました。僕自身、これをきっかけにだいぶ成長したように思います。まだまだ至らない若者とそれをサポートする大人の方々。その構図がトークバトルでは顕著に見られました。
- これからの課題は、こういったイベントを定期的に開くことが大事だと思います。イベントを重ねるごとに、だんだん地域のことを考える若者が増え、地域で活躍する大人の方が増え、お互いが出会った時にスパークすれば島根が面白いことになるかと思います。今回のイベントで運営スタッフを含め、参加者全員がそれぞれに得たものはあるかと思います。それをぜひ、今後に活かしてほしいと願っています。
久松勝平
- まず、滅多にない機会を体験させていただいた関係者の方々に感謝です。学生という身分で主催という不安要素の多い条件でしたが、学生故に大目に見ていただけるという点や経験豊かな社会人の助けもあり、無事会を催すことができました。
- 事例発表者による、ユニークな考えやそれぞれの経験から辿り着いた共通の観点。その共通の観点というのは普遍的な事実ではないかと考えますので、様々な面で有効な情報だと思います。
- 島根大学学生の田中晃一氏による「若者ツーリズム部」発足は心強い発言でした。決まっているのはまだ大枠だけですが、実際に動き出したときを想像すれば各地で大きな化学反応を起こしてまわるものと期待しています。島根大学の学生が更に外へと出かけ学びの機会となると思います。また、島根を元気にするトークバトルを企画運営することで、学生はもちろん参加者全員が共に高めあうことができるような人々の繋がりもできているようです。足元の地域だけでなく、少し離れた地域に居る同じような志を持つ人々とのネットワークができるというのは心強いものです。
- 私自身も得たものが大きく、今後の社会人生活の糧となりそうです。例えば段取りでいいますと、メンバーのスケジュール調整、経験の少ない者同士の意見のまとめ方などです。本番であれば、司会進行役はその分野の自らの経験・知識・ユーモアそして会場の空気をくみ取る力、見られる自分の身なり、発言内容、しゃべり方などがあります。写真からもボイスレコーダーからも客観的に見た自分の課題に気がつくことができました。
木谷尚樹
- 今回のイベントは、大成功でした。参加者一人一人が、何かを持って帰れたはずです。
- 第一部では、個性的はメンバーの講演ということで一つ一つ考えさせられる問題が多数ありました。この人達に、共通していることはいろいろあるアイデアを本当に実践していることです。尾野さんは、現地に直接行って交流する。田中さんはシステムを運営する。あと、みなさんすごく楽しそうに現地のことを話しているのが印象的でした。この人達が何をしているのかすごく興味を持ちました。この人達にとって生きるとはどういうことだろうと。日々、大学行って、会社に入って・・・という流れをよく耳にします。このイベントで自分自身をすごく小さいなと感じました。
- 誰でも、やってみたいことや、いいなと思うアイデアは持っているはずです。どうやって行動したらいいのかが、一番大切なことであることを再確認しました。
荒川宏子
- 約一ヶ月間トークバトルの企画運営に参加させていただきましたが、初めてのことばかりでかなり戸惑いました。感想、考察ということですが、以下私が思うよかった点、改善の余地がある点など書いていこうと思います。
- よかったのは事例発表者の方にしても参加された方にしても非常に意欲のある方が集まったこと、田中さんがおっしゃっていたよい人脈を広げられたこと、地域を考える第一歩となったこと、各々に「いい経験」となったこと、などでしょうか。最後のひとつは私がひしひしと感じている点です。普段自分の勉強ばかりしているので、これまでやったことがないことを始めるのはすごく勇気がいることで尻込みもしましたが、やはりこれから社会に出ていくことを考えると「いい経験」になったと感じています。
- 次に改善点についてですが、当日の分担をもっと明確に決めておけたらよかったと思います。受付や各部屋の準備、片付け等。人数不足だったので仕方がないと言えばそれまでですが。あとディスカッションの仕方が当初と違ったので考えてきてもらったプランが生かされなかったんじゃないか、ということを感じました。もしいくつかの題を先にこちらから提示しておけば、もっと深く考えてきてもらえたかもしれません。
- いずれにしても皆さんがそれぞれに一生懸命やったってことが一番大事なことですね。本当にお疲れ様でした。そして有り難うございました。
江角智也
- 「島根の現状や未来を考える」、若者がこのようなテーマを取り上げてイベントを主催することは、ここ島根の地においては非常に珍しい試みであったと考えます。当日は、地域活性化の現場で活躍している若者、島根の現状をどうにかしようと思っている若者など、多方面からの人が集まったことによって、新たな人と人との結びつきが数多く構築できたと考えます。
- 第1部の先進事例紹介においては、地域で精力的に活動している同世代の存在を知ることができ、何か行動してみようと駆り立てられた若者も多かったのではないでしょうか。第2部のグループ討論は、このイベントにおける斬新な試みであり、参加者全員が意見を述べる場を設けることで、各自が主体的に、何より具体的に、島根という地域に対して物事を考えることができたのではないでしょうか。そして年配の方と同目線で率直に話し合える非常に良い機会であったと考えます。第3部のグループ発表・質疑応答は、時間的な制約があったため、まとまりに欠けている感がありましたが、各グループからいろいろなアイディアが発表され、参加者は各分野における自身の考えとそれらとを照らし合わせて考えることができたのではないでしょうか。今回のイベントは、企画した第1部から第3部の流れを一通りやり遂げたということが、初開催として重要な成果であったと考えます。このようなイベントの継続的な開催が強く望まれます。
- また、イベントの準備段階からもっと多くの若者を巻き込んでいくことも必要であると考えます。数時間のイベント内だけではなく、企画・運営を通じてじっくり腰を据えて地域を見つめ、考え抜く時間を多くの若者に経験して頂き、さらにイベント企画運営の楽しさも知って頂きたいと思います。
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